
辻仁成の小説「代筆屋」を買ってみた。
手紙を代筆を仕事にしている売れない小説家のお話。
「手紙の代筆を業とすることは行政書士法とか弁護士法とかに違反
するのかしら。」と少し考えてみたりしました。村上春樹の短編で
同じように代筆のアルバイトする「僕」が出てくるのもありましたね。
私自身、仕事に関係する手紙の代筆を何度かしていますが、本人の
気持ちを時間をかけて聞き出して、それを相手に伝わる文章に変換
します。時に行ゆすぎてしまいそうになったりするのを押さえながら、
本人とチェック(主に事実関係について)を重ねて作り上げていく。
本人だけではできないし私だけでもできないものができあがります。
手紙という本来とても個人的なものを共同作業で作るというのは、少し
ルール違反をしている気にもなるが、自分自身が思っていることを言葉
の形であらわすことが苦手、あるいはできない人が、その作業を余儀なく
されて真意が伝わらない、あるいはトラブルになるというケースは多い
ことでしょう。
行政書士の業務は基本的には書類作成です。許認可書類にしても
遺言や相続手続きにしても、事実をそのまま書類にしていくのが仕事
です。そこに嘘が入ってはいけませんし(決算書類等)、基本的には誰が
作成してもその効果は変わらない種類の書類です(その分野に関する
法律その他の知識があるのは前提条件です。またどうしても許認可分野
では書類作成にもノウハウがあり、それによって結果も変わってきます。)
もちろんその書類作成業務をきちんとこなすだけで本当に大変なことですし
まだまだ未熟な私ですが、研鑽を重ねていくと共に、プロとしての誇りを
もってそんな書類を作成していくつもりです。
しかし、手紙というのはその内容次第、つまりは何をどのように書くのか
によってその効果や結果は大きく変化します。つまりは交渉に近い要素
を持つことになります。だからこそ面白いわけなのですが、行政書士が
指導して登記の本人申請をさせたり、本人に訴訟させたりするのが脱法、
違法行為であるのと同じように(本人名義の)手紙の代筆によって法律行為
の交渉を行った場合、弁護士法違反、脱法的行為となるのかもしれません。
今の時代、ほんとに手紙の代筆を例えば「専門」としてたら弁護士法違反で
訴えられたりするかもしれません。
そんなことを考えながら「代筆屋」を途中まで読みました。今週は書類作成
の仕事が多いです。手紙作成は手だけが震えてしまってうまく書けない人
の完全な代筆(口述の書き取り)が一件だけあります。のんびりとお茶を飲み
ながらいい手紙を作ろうと思います。

